今年はなんと会社の都合でタイのバンコクに住むという転機が訪れた。目標であった博士課程進学が遠のいた感はあるものの、研究対象が仕事とも微妙に近づいており、あまり焦らなくても良いのではないかと思うようになった。
私の現在の数学の拠り所となっている放送大学。東京との2拠点生活ではあるのでそれほど不便ではないが、来年4月からは正式に海外在住でも学べるようになるらしい。
今年は面接授業の「ゲーム作成で学ぶ線形代数入門」が面白かった。Paul Orlandの『プログラミングのための数学』を参考書として線形代数の基礎からPythonを使ってゲームを動かすところまで。
シラバスには
Python の知識は前提にしませんが、Excelは簡単な操作ができることを前提にしますと書かれていたが、実際はターミナルを起動してPythonの仮想環境を作り、VS CodeでJupyter Notebookを扱うスタイルで教室は大混乱だった(環境構築の資料は丁寧に書かれていて、その通りにやれば問題なかったのだが、その通りにやれないのが人間)。
そして見つけてしまったのが大学院開設科目の「計算と自然」だ。もともと自然計算という分野には興味があり、理解できないながらも近代科学社のナチュラルコンピューティング・シリーズの第0巻『自然計算へのいざない』を読んだりしていたのだが、なんとこの編集委員である萩谷昌己先生が講義をされているのであった。学部生なので単位にはならないものの、教科書は買えるし講義もオンラインで視聴できる。まさに今の自分の興味のど真ん中で、おもしれー!と感極まって教科書を閉じる(閉じるなよ)という状態。読んでいて分かったこととしては、ナチュラルコンピューティング・シリーズでまず読むべきは第7巻の『自然計算の基礎』だということ。これも面白すぎてすぐに閉じてしまう。第4章には圏論が出てきて、ずっと追ってきた加藤文元先生の『はじめての圏論』に繋がる。今年の残り時間はこれらと一緒に過ごしたい。
ここで冒頭の伏線回収になるのだが、会社の新規事業として東京の清澄白河に「Kinoko Social Club」という場を作った(ロゴのデザインや皿のレーザー刻印などを担当)。メンバーそれぞれにこの活動体に対する思いはあるが、私はきのこ及び菌類と自然計算のつながりで何か作品を作れないか探っている。
あとは藝術と技術の対話(DAT)。このサイトを制作しつつ藤幡さんと様々な話をした。必然的に博士課程でも向き合うことになる内容であり、藝術と技術の普遍性とローカル性について考えるのに、いま自分がタイにいることは活きてくるはず。2021年に国際交流基金アジアセンターの「Jalan-jalan di Asia-アジアを歩く」というプロジェクトに参加した際に、東南アジアの文化や知性、日本の戦前の思想に触れ、興味を持った。Webサイトはもう見られないが、中身は古市さんの根性でPDFとしてアーカイブされている(本当に大事)ので読んで欲しい。ここでの仕事がCCBTに繋がり、DATに行き着いたのは感慨深い。来年はもっと楽しくなると思う。
この記事は 2025 Advent Calendar 2025 の2日目でした。1日目は taizooo さん、3日目は a_suenami さんです。お楽しみに。
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