月曜日, 10月 13, 2014

自撮り文化とアプリケーションについて

PHOTO SPOT PARTYのシステムを開発している時に気付いたのだけど、Instagramはフロントカメラで撮影した画像を正像にしない。

Camera.appとPhoto Boothは、撮影時はモニターに鏡のように反転した映像(鏡像)を表示しているのだが、シャッターを押して保存された画像は通常の「カメラから見た」像(正像)となっている。自撮り文化の元祖とも言われるプリント倶楽部もそうだ。

しかしInstagramでフロントカメラを使用して撮影すると、反転したままの画像を保存し、アップロードする。これにはかなり衝撃を受けた。

僕自身は自撮りをしないし周りの人もしないので全く知らなかったのだが、かつてフロントカメラの性能が低かった頃は、わざわざメインのカメラで鏡越しに映る自分を撮影していたらしい。そこには良い画質で自分を写したいという欲求もあるのだろうが、普段見慣れていて、自分が思う自分のイメージに近い像を撮影できるという利点もあるように思う。

実際Photo Boothで撮影した画像や、他人に撮影された自分の画像を見ると、「何か違う」印象を受ける。

Instagramのアプリケーションの設計者は「他人からどう見えるか」よりも、「自分からどう見えるか」に重きを置いた心理に気付き、自らの目線を一度通過した、いつも自分が見ている「鏡の中の自分」を撮影し、拡散できるようにしたのではないだろうか。

当然ながら鑑賞者が見る画像も、カメラではなく「撮影者(自分)から見た」像である。これはセルフポートレートとも違った視線の構造であり、写真論などでも考察に値する事柄ではないかと思う。何かそれっぽいのあったら教えてください。

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