hideyuki nakayama architecture
入江先生が「ひさしぶりにときめくような人に会った」と注目してる新人建築家。第23回吉岡賞受賞。金曜日の入江先生のレクチャーで、彼が実際に授賞式で使ったスライドを見せてもらいながら話してもらった。受賞作であるクローバーの家は設計図なしで建てられたらしい。住む人のシーンを想像したスケッチの連鎖から建物ができていった。小さい女の子が窓ガラス越しにクローバーを見ていて、その女の子をお母さんが見ていて...みたいな。タンスを上って窓から外に出るとか、机の上で髪を切ってるんだけどその上は吹き抜けになってて、人が腰掛けて髪を切ってるとこをみてる、とか。写真も綺麗でドローイングも上手くて魅力的だった(人形も作ってた)んだけど、入江先生曰くそのプレゼンテーションは「最悪」。こんな綺麗ごとだけじゃない狙いがあったはずだと。周りの住宅とも相容れないような見た目、クローバー。クローバー(シロツメクサ)は外来種の典型だし、何か裏の意図があるんじゃないか、と。
圧巻だったのは彼の学生時代の作品で、2枚のウェットスーツをジッパーで繋げたような家のプランだった。ジッパーの部分に窓が組み込まれているので、窓の位置が自由に移動できる。
一人用のテントらしきものを立ち上げ、それらを構造的に繋げていき大きな住宅、そして都市を形成するようなプランもあった。服を建築の最小単位として捉えているような感じだったけど、詳しいことはよくわからない。とにかくそれらの資料が、ものすごいクオリティで作られてる。映像、スケッチ、図面、それぞれが完全に学生レベルを超越していた。
建築物としてそれらを見ると、欠陥だらけ。でもそんなプランが考えられるのは学生のうちだけだ、と入江先生は言う。地元に帰った時にNとも話したが、特に建築はクライアントだったり予算だったり素材だったりと様々な制約があって、「自分の作品」と呼べるものを作ることは本当に難しい。そういう意味でクローバーの家だって僕らが期待するような彼の良さがでたかどうかはわからない。仕事である以上建たない家は作れない。
ということで、学生のうちにしかできないこと、について非常に考えさせられました。他にも色々と面白い話を聞いたので、今後も中山さんには注目しています。